10周年 リニューアル記念 第2弾 - 新店舗開店・事務所案内
( 2025.05.28Wed )
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この度、10周年の機会で、株式会社ユニエルの事務所の移転、そしてSTAYFUL LIFE STOREの新店舗のオープン、コーポレートブランド・ウェブサイトのリニューアルを行いました。
何年もの間、このために準備してきたため、ただの報告ではなく、あらためてユニエルのことを少しでも知ってもらえるような紹介記事を書きました。
とはいえ、紹介したいことが沢山あるので、以下の内容に分けてブログを公開しています。
今回は、第1弾となる新店舗開店・事務所案内について紹介します。
店舗をはじめたきっかけについて
これまでに4度の移転を経験し、そのたびに「理想の空間」を思い描いてきました。そして今回、ようやく納得のできるテナントに出会えたことは、長年耐え続けた自分にとってひとつの成果だと感じています。
今回の移転のきっかけ、そしてそもそも店舗をはじめた原点は、この仕事を始めた頃の話にさかのぼります。
現在7年目を迎えるSTAYFUL LIFE STOREには、これまでの経験がすべて詰まっています。
一つ目のきっかけは、10代からこの仕事を始め、徹夜や休日作業が当たり前だった時代を過ごしたことです。がむしゃらにデザインの仕事に打ち込む中で、仲の良かった友人との時間や、新たな人との出会いの場に触れる機会が減ってきたことが、ずっと心に引っかかっていました。
そんな思いから、27歳で起業するタイミングで、ものづくりに関わる空間、人とつながる場所について、本気で考え始めました。
もう一つの大きな理由は、企業や事業のブランディングを請け負う中で、自分たち自身が“ブランドを運営しない”ことへの疑念でした。
「大きなお金を預かってブランディングのお仕事を引き受けているのに、自社ではリスクを取らなくて良いのか」という疑問、“自分自身で投資をしない”、“自社でブランド作りをしない”ことへの違和感があり、その葛藤のなかで、飲食提供・雑貨販売・撮影・イベント・展示などを行える、現在の空間の構想に至りました。
ブランドを立ち上げるということは、ブランド・エクイティが“ゼロ”の状態から始めることに意味があります。とはいえ、実店舗の運営には苦しい現実もあります。立ち上げ当初は力不足や知識不足から赤字が続き、正直かなり厳しいスタートでした。それでも、少しずつファンが増え、ようやく黒字化できたことで、事業を続ける希望が見えてきました。
なによりも、実店舗を持つことで、ブランドを”作る”人よりも”運用する”側の大変さを身をもって知ることができ、“常に気を張っていないと明日がない”――そんなリアルを若いうちから経験できたことは、自分にとって大きな学びでした。
スタンドカフェの立ち上げから始まり、現在のSTAYFUL LIFE STORE、そして今回の新店舗へ。成功と失敗を繰り返しながら、ようやく今のかたちにたどり着きました。
歩みのなかで一貫していたのは、“ものづくり”を軸に据えた私たちユニエルの姿勢です。
自分自身はアートディレクター、デザイナーという立場がありますが、PCを利用したものづくりしている以上は、近年の技術の発展により、AIと仕事を共存する未来が見えてきました。
そのなかで、AIが作れない“ものづくり”を、自ら作りたいと感じていたことから、その全部をぶつけた部分もあります。
貧困層の家庭で育ち、資本もなかった私にとって、この場所にたどり着くまでの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、それでも今、“最も長く過ごす場所”である職場が、刺激と熱意にあふれた空間になっていることは、自分自身の生活に一番良い影響を与えると思っています。
出だしからユニエルらしい
縁がつながり、ようや空間と出会えたわけですが、大きなことをしようとすると必ず大きな問題にぶつかってしまうのが私たちユニエルです。
今回の大きな問題は、ふたつありました。
ひとつめは、この記事では書くことを控えますが、移転の際に問題がおき、この問題から半年以上もの時間を費やしてしまいました。
このひとつめの問題で体力を底までもっていかれてしまいましたが、なんとか乗り切ることができました。
そして、ふたつめは自分たちで施工をするきっかけとなった問題です。
とある方にデザインと施工をご依頼していたのですが、施工開始のタイミングで計画途中で連絡が途絶えてしまい、序盤から計画が真っ白になってしまったところからはじまります。
施工スケジュールに合わせて、オープン日のイベント、採用やメニュー開発などの全ての準備を進めていたこともあり、多くの機会や費用を損出してしまいました。
しばらくの間、またしても体力を奪われる日々でしたが、プラスに考えるとそのおかげで自分たちで施工するという行動に移せたきっかけでもあり、今では大事なアイデンティティの一部となっています。
良い報告と絶望がセット、そしてそれを乗り越えていく、そういう始まり方はユニエルらしく、仕事への取り組み方に活きていると考えています。
半年以上の期間をかけた施工
施工プロセスの監修するお仕事も行なっていることから、準備段階はスムーズに進めることができましたが、課題は店舗を丸ごと施工した経験がなかったことでした。
知識はほどほどに持っているが、それを実行に移す手段が分からない中途半端な状態だったため、周りの方々からアドバイスをいただいたり、Youtubeを見ながら、半年以上かけてひとつひとつを手作りしていき、設計、解体、電気、水道、設備、溶接は経験だけではなく資格も必要なため、プロフェッショナルの方々に助けていただきました。
工具を一から集めることからはじまり、200平米以上の広さを施工素人が工事をするということ、夏の暑い時期や冬の寒い時期をエアコンがないなか工事をすることなど、なかなか思い通りに進まず、幾度も挫けそうになりましたが、なんとか理想のカタチまでむかえることができました。
経験上、コストや作業時間は大枠把握していましたが、実際に自分で施工することで、クオリティとコストのバランスや、作業量やスピードなど、細かく把握することが出来たため、勉強代としては高価なものですが、今後の経験に活きる良い経験となりました。
実際の施工風景は、SNSでも発信していましたが、展示の際に利用した映像を是非ご覧ください。
新店舗開店・事務所案内
説明したような様々な背景は、自分たちのアイデンティティでもあり、知ってもらいたかった事でもあったため、前段が長くなってしまいましたが、ようやく新店舗と事務所の案内をさせていただきます。
まず、私たちことが伝わる動画を作ってみましたので、ご覧ください。
今回、空間を作る上で大事にしたことは、“つながりを生み出す場所”となるように、多くの方が訪れやすい空間です。
ユニエルの考え方の軸となる“血の通ったつながりを生み出す”ための空間として、国籍、年齢、家族構成を問わず、一人で過ごす事が好きな方や家族と過ごしたい方、友人と過ごしたい方や恋人と過ごしたい方など、各々の過ごし方を縛らないような空間づくりをしています。
雑貨を見る、アートを見る、音楽を聴く、席を移動してみるなど、決められた場所に囚われず、自由に過ごせるようにと想いを込めて他の事業との関わり方も考えています。
なにかに縛られる時代のため、可能な限りモラルの中で各々が自由に過ごせる場所として、「子供が小さいから入りづらい」、「一人だと入りづらい」、「長居しづらい」などなど、都心では“しづらい”ことを快適に出来る落ち着いた空間を目指しています。
そんな想いを込めて、店舗の両面路面を活かした風が通り抜ける気持ちのよい設計にし、元々の外装を活かし、印象の柔らかいベージュで全体をまとめています。


また、意識した点としては、全てを綺麗にしてしまうのではなく、古き良きものを引き継ぎ、心地の良いバランス感や余白を意識しています。


ベージュは一色ではなく、4色のページュを使っていて、建物内部に入ってもレイヤーが感じられるようにカラー設計をしています。

中でも、ひとつひとつ手で貼り合わせた4,000枚のタイルで仕上げたカウンター裏の壁面は、私たちのささやかな誇りです。このタイルがあることで、空間全体がやさしい印象になり、訪れる人をより自然に迎え入れられる場所になりました。

元々スーパーだった一階は、カフェと雑貨スペース、自分の執務エリア(事務所)にし、カラオケボックスだった地下はスタジオとラウンジのような印象にまとめ、歴史を引き継いだ空間設計を行いました。



同じ店舗の中でも、その日の気分や、それぞれが落ち着く場所で過ごせるように考え、一階と地下のトーンを変えました。
スタジオにはメイクルームがあり、地下全体がアートギャラリーとしても利用できるようにしています。



机や壁、カウンターにいたるまで、自分たちで木材を色染めを、塗装、加工しているため、完璧ではありませんが、どこか暖かく、人の温度が感じられます。
一階のベンチは、縁側を思わせるような開放的な窓もあり、古き良き日本の文化を取り入れています。

この時代のなかで、少しでも安らげる空間を作りたいという気持ちと、素人施工ながらも細かな部分まで、気配りを忘れないようにと空間を作り上げました。
多くの店舗にはアイデンティティがありますが、私たちのアイデンティティは、間違いなく最後までこだわりぬいた空間だと思います。
今後も、訪れた方に、ブログだけではお話出来ない細かな部分を伝えていければと考えています。
最後に
以下は2025年4月30日まで行っていた [ステイフルライフストアのつくりかた] という展示風景をご紹介します。
工事の際に使用していた工具や、工事中に起きたトラブルと葛藤、その時々に助けてくれた方々に敬意を込めて展示を行いました。







長い日々、週末も深夜もほぼ休まずに、仕事に施工にと戦い続けてきたので、今は少し安堵しています。
私の周りの方々には、「今お店を作っている」と、長い間話してきたので、ようやくお披露目の日がきた際には、一人で感情が揺さぶられてしまいました。
たくさんのアート展示やイベントなど、場を使った新しい空間づくりをしていくので、これからも見守っていてください。
現在、カフェやスタジオとして、一般の方でも利用できるようにしているので、是非訪れてみてください。
STAYFUL LIFE STORE
東京都武蔵野市中町1-37-5
三鷹駅 徒歩8分/吉祥寺駅 徒歩16分
※営業日、営業時間はInstagramをご確認ください