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京都丹後の伝統文化と地域ブランドの魅力が織りなすメディアサイトの価値
メディアサイトとブランドブックができるまで
「昔の織り技法で今のライフスタイル」をコンセプトに、伝統・ファッション・芸術の3つを融合させ、京都丹後で「職人の手仕事」にこだわったものづくりをされているKUSKA様。
ユニエルにて、KUSKA様がプロデュースする丹後の魅力を紹介するウェブメディアサイトを制作させていただきました。
京都丹後で伝統を守りながら「職人の手仕事」にこだわり、そこで生まれる美しいものづくりを多くの方に知ってもらいたい、という想いのもと、メディアサイトの立ち上げをご検討されていました。
当時私たちにお声かけいただいたクスカ株式会社 代表取締役 楠 泰彦さまをお迎えし、メディアサイトを運用していただく中での効果や、メディアサイトと実店舗を含めた今後のお取り組みについてお伺いしていきます。
伝統の丹後ちりめんを継承し、世の中に知ってもらうためのウェブメディアサイトとは
ーーひとつひとつ手仕事で作られている丹後ちりめんを使用したブランドを展開されているKUSKA様ですが、ウェブメディアを立ち上げられる経緯はどのようなものだったのでしょうか。
楠 泰彦さま(以下、楠さま):
私たちは職人が手を込めて作る織物や、ネクタイといった商品を展開しているのですが、丹後は織物以外にも古くから伝わる地場産業がある日本でもめずらしい地域なので、そういった丹後の魅力を幅広く発信していきたいと考え、ウェブメディアサイトの立ち上げを検討していました。
ウェブサイトを作っていただけるパートナー企業を探しているときにユニエルさんのコーポレートサイトを拝見し、ウェブサイトからもデザインに重きを置いている会社さんだと感じ、問い合わせをさせていただきました。
ユニエル 野田:
当時はお問い合わせいただきありがとうございました。
お話をいただいてから制作に入る前、プライベートで京都に行く機会があり、京都市内にあるKUSKA様の店舗にもお邪魔させていただきました。
KUSKA様の創業経緯は事前に把握させていただいていましたが、実際に商品を手にとって、楠さまの想いを直接お伺いできたことで、全体の世界観やデザインの方向性を明確に把握することができました。
楠さま:
わざわざ京都までお越しいただきありがとうございました。
打ち合わせではKUSKAや商品についてもお話しさせていただきましたが、メディアをどのように運用していくかや、どういうシステムだと使いやすいかなど細かく聞いていただきましたよね。
ウェブに関しては弊社にも担当者がいましたが、制作されている方のご意見をいただくことで、公開されてから運用に入る際にもスムーズに進めていけたように感じます。
ブランドの確立にあたり、メディアサイトのコンセプト作りから併走する
ーーTHE TANGOのメディアサイトは、古くから伝承される丹後の魅力をあらゆる視点から切り取ったコンテンツで設計されています。
メディアを設計される際は、どのようなビジョンを持たれていましたか?
楠さま:
メディアサイトのビジョンとしては、広告などで利益を出していくというよりも、丹後で作られたもの、食べ物や織物を通してTHE TANGOのブランドを知っていただきたいという想いがありました。
現在は、「SEA(海)」「LUXURY(贅沢さ)」「FOOD(食)」という3つのコンセプトを持って運営を行っています。
この3つに関しては、他にはない丹後の特徴を伝えていきたいという考えのもと検討しました。
特に「SEA(海)」は、半島ならではの地形から、光の指し方や海の色が他の地域では見られない独特な美しさがあり、その良さをたくさんの方に知っていただきたいと考え選定しました。
ユニエル 野田:
コンセプトのご相談を受けワイヤーフレームを作らせていただく中で、映像や写真も拝見し日本の伝統を感じながらその美しさに魅了されるものがあり、情報設計を行う段階からも楽しんで取り組ませていただきました。
THE TANGOのメディアサイトを通して、丹後の魅力を知っていただくことが目的だったので、THE TANGOとしての言葉使いや、国外の発信も考慮した文章構造をご提案させていただきながら進めていきました。
私たちは東京という離れた場所から、メディアサイトのデザインや構築を担当させていただきましたが、楠さまからいただく映像や写真を拝見できたことで、丹後を身近に感じながらプロジェクトに取り組めたと感じています。
当時、動画制作やフォトグラファーさんは、丹後にお住まいの方々と作られていったのでしょうか。
楠さま:
丹後で活動されている方ももちろんいました。
ただ、それだけではなく、東京にお住まいで丹後ご出身の方でしたり、丹後に直接的に関わりがない方でも、同じように「海」に興味を持っているという繋がりから、映像や写真のご相談をさせていただいていました。
「海」が好きな方にとって、「丹後」は未開の地だという方もいらっしゃると思うので、そういった方々にめずらしさを感じていただき、丹後に来てもらうきっかけが作れたらと考えています。
THE TANGOブランドが構想するコンテンツの中で共通項を持たれた方に「丹後」という地を知っていただいて、そこから継続した関係性が生まれていくのも、このプロジェクトの醍醐味でしたね。
ユニエル 野田:
「SEA(海)」「LUXURY(贅沢さ)」「FOOD(食)」という3つのコンセプトから丹後を知ってもらうきっかけが作れているというのは、メディアサイトとしてもひとつの成果になっているように感じます。
メディアサイトをデザインさせていただいてから、更新される記事を毎回拝見していますが、写真や文章の節々から丹後の美しさを感じ、更新されているみなさまの熱量にも圧倒されました。
継続的な運用にはその大変さが伴うと感じますが、改善していきたい点や課題感などはありますか?
楠さま:
ウェブの専門性がなくても記事を更新できるように使いやすく作っていただけたので、運用上に難しさを感じることはあまりないです。
コンテンツについては、記事の数自体もまだまだ増やしていきたいと感じますし、3つのコンセプトをさらに細分化するなど、ご覧いただく方々に寄り添ったものを届けていきたいと考えています。
今はコロナウイルスの影響もあり少し難しいと感じますが、丹後の地場産業や、丹後で体験できることを伝えていく中で、最終的には旅行のプランが考えられたり、ここに行ってみたいと感じていただけるコンテンツを発信していきたいですね。
画面上だけでは感じられない、「触れられる」ということの価値
ーーメディアサイトの制作後、昨年ではTHE TANGOのブランドブックをユニエルでデザインさせていただきました。
ブランドブックはどのような目的で制作が行われたのでしょうか。
ユニエル 野田:
展示会を行われるにあたり、お越しいただいた方々にTHE TANGOを知っていただきたいということで、ブランドブック制作をご依頼いただきました。
メディアサイトの運用が始まってから1年ほどが経過していた頃で、ちょうど私たちとしてもその後の様子をお伺いしたいタイミングにご連絡をいただいたことを覚えています。
お打ち合わせの際は、弊社のオフィスまで足を運んでくださりありがとうございました。
楠さま:
突然の依頼になってしまったのではないかと思っていたので、そのように言っていただき安心しました。
制作いただいたブランドブックは、当初の予定通り展示会で配布をさせていただきました。
昨年行われた展示会では約半数を配布し切って、その後は工房にお越しいただいた方々や、ウェブサイトで商品を購入いただいた方に郵送する際に、商品と一緒にお送りさせていただいています。
紙の素材も細かくご提案いただき、質感があるところが私たちが作っている商品とも紐付けられていて、自社商品自体の価値をさらに上げてくれるきっかけになってくれています。
ユニエル 野田:
お役立ていただけて嬉しく思います。
表面の素材にはコーティングをした紙を選定し、少しマットな印象を持たせることで、KUSKA様で作られている商品と並べていただいた際に重厚感を感じてもらえるようイメージを作り上げていきました。
THE TANGOで運用されているInstagramでとても綺麗な写真を使われていたこともあり、ここからブランドブックで活用する素材を選定し、THE TANGOとKUSKA様のブランドという双方向の世界観が繋がるものを目指して制作させていただいています。
継続してご依頼をいただき、ありがとうございました。
メディアサイトを通じて京都丹後の魅力を発信し、世界の方々へも伝え続けていく
ーー現在の運用や効果をお伺いでき、とても嬉しく感じました。
これからメディアサイトがどう育っていってほしいか、どんな人に知ってもらいたいなど、今後の構想はどのようにお考えでしょうか?
楠さま:
まずは丹後との関係性が近しい人にTHE TANGOを知っていただきたいと考えています。
最近ですと、丹後出身で東京にお住まいの方から、地元を紹介するときにTHE TANGOのメディアサイトを見てもらっているというお話しを聞きました。
そういった形で、THE TANGOが人から人の手へ紹介していただけることもとても嬉しいですし、「丹後ちりめん」や「和もの」、「海」などの丹後を取り巻く風土からも共感していただいて、その方々にとってより近しい存在としてメディアサイトを位置付けしていくことが目標です。
そして、弊社のブランドと相乗効果となること、丹後全体の認知を高めていけるメディアサイトへ成長させていきたいですね。
ユニエル 野田:
TANGO OPENや TANGO CREATION PLATFORMなど、丹後がインターネットを通して活気づけられていることを目にする機会が増えました。
日本の手仕事の良さや品質の高さを伝承していこうという熱量を感じ、私自身もKUSKA様の商品を使わせていただくことがあり、こういった形でTHE TANGOのプロジェクトに関われたことを光栄に感じます。
メディアサイトもそうですが、商品を生み出されていく中で、今後さらに強化していきたいことなどはございますか?
楠さま:
私たちは手仕事でのものづくりを強みとして大事にしてきているので、同じように伝統や手仕事、その土地の名産とのコラボレーションなども検討しています。
現状では、兵庫県の豊岡という鞄の名産地があるのですが、そちらのブランドとコラボレーションさせていただいてバッグを作らせていただきました。
New Dulles F0 fabric by KUSKA(丹後ブルー)
KUSKAと豊岡のバッグブランド「ARTPHERE(アートフィアー)」がコラボレーションしました。
豊岡鞄の代表格ともいえるダレスバッグの表面に樹脂加工、撥水加工を施したKUSKAのフレスコ生地を使用しました。
ダレスバッグのおしゃれなフォルムと3WAYなどの機能性に加えKUSKAの手織り生地の風合いや色の鮮やかさを楽しめます。
京都・丹後と兵庫・但馬、隣り合う二つの地域のモノづくりが融合した自信の逸品です。
楠さま:
私たちが作っている「丹後ちりめん」を活かして、和装や着るものだけではない分野での提案も含め、生活に寄り添ったものづくりをしていきたいと考えています。
メディアサイトを通して、より多くの方に知っていただき、商品を手に取っていただいた際には手仕事の魅力を感じていただけるものづくりをしていきたいですね。
ユニエル 野田:
コロナウイルスの影響もまだあるのではと感じますが、伝統を重んじながらも強みを活かしてどのようなことをしていけるのか、前向きに考えていかれる姿勢をいつも参考にさせていただいています。
緊急事態宣言が解除され、移動自粛も解禁されてから、国内観光振興を目的とした制度も耳にしますので、これからのアプローチ施策を検討される際にも、ぜひ一緒に考えさせていただけると嬉しいです。
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
Credit
Project Manager:野田 一輝
Art Direction:野田 一輝
Web Design:野田 一輝
Catalogue Design:野田 一輝
Front End Engineer:後藤 寛一
Web Motion Design:野田 一輝, 後藤 寛一
Back End Engineer:後藤 寛一